鍵のかかった部屋の第一話

日下部雅友は、『新日本葬礼社』のブルーのロゴマークが描かれたガラスドアを、乱暴に押し開けた。

衝立の前には、『ご用の方は押してください』というプレートと、卓上ベルがあったが、

かまわず、どんどん奥へと進んでいく。

「あら、先生?」

段ボールいっぱいの書類を抱えて廊下の向こうから現れた田代芙美子が、

赤い眼鏡フレームの奥で目を丸くして立ち止まる。

背が低く小太りで愛嬌のある狸顔は、とても社長秘書と総務課長を兼任しているやり手には見えない。