超・殺人事件の三話目

車は中央高速道路に入った。

「それにしても、妙な指示を出すものだよなあ」朝月出版編集部の顎川が、アクセルを踏み込んで

ハンドルを片手で操作しながらいう。

「突然編集部にファックスを送りつけてきて、大至急家に来るように、だもんなあ。いや、家に呼びつけるのはいい。

問題なのは、必ず四人揃って、とはどういうことだ。その四人が同じ会社ならともかく

全然別の会社の編集部が四人なんだもんな」

「説教でもする気じゃないのかな」後部座席右側の坂東が、シートにもたれたままで、にやにやした。

彼は文福出版編集局に籍を置いている。

「おれの本が最近あまり売れないのはどういうわけだ、おまえたちの努力が足らないからじゃないのか、

何とかしろ―というふうにさ」