超・殺人事件の二話目

というわけでこの日も私は、脇目もふらずに文庫本の棚を目指すはずであった。

ところが―。

平積みされた新刊本の前を通る時、不思議な感覚が私を襲った。

それは不気味な言い方をするならば、幽霊に頬をなでられるような感覚だ。

ただし冷たくはない。温かい感触だった。私は思わず、そちらのほうを見た。

おっと思わず声が出そうになった。

ずらりと並んだ本の間から、一瞬ぼうっと光を放ったものがあったのだ。

目をこらした次の瞬間には、その光は消えていたが、私には錯覚とは思えなかった。

私は光の根源であったと思われる書物に手を伸ばした。それは黒い表紙のハードカバー本だった。

タイトルは、『超理系殺人事件』とある。

作者は佐井円州となっているが、これはたぶんサイエンスをもじったものだろう。

私は表紙を開き、頁をめくってみた。