短編集、狂人相場の一編です。

主人公の滝沢保則(たきざわやすのり)は大林産商という商社に勤めています。

秘書課長をしていますが、やっている仕事はほとんどが接待。

当然のことですが、商社にとって、外国人の政治家や官僚はVIPです。

滝沢は、これらの人物に、「女」をあてがうという、特殊な業務についていました。


一例をあげます。

東南アジアのある新興国で、 経済開発五カ年計画が立てられました。これで大量の鉄鋼製品が輸出できます。

そこで滝沢は、政界に工作し、その国の新大統領就任を祝う特使を政府から派遣させます。その特使に連れ立って、滝沢は銀座のホステス三人を同伴します。女性秘書という触れ込みです。
もちろん三人のホステスは、肉弾攻撃要員です。

相手国の大統領をある豪邸に引っ張り込み、三人の女を次々にあてがっていきます。

大統領は、三日続けてトリプルプレーを果たしますが、こうなったら取引は楽なものとなります。

三人の女には大林産商から、銀座へ、一軒ずつのバーを報酬として与えると約束してありました。


こういう、特殊任務についていた滝沢ですが、思いもかけない事に遭遇してしまいます。

大林産商が、ライバル会社の日本物産に吸収されることになったのです。


閑職につけられて、屈辱の日々が続きますが、 ある日、星野乗務から呼び出されます。

南アフリカで最近独立した某国から、次期商工大臣候補が来日してくる。その伽役の女性をどうしても見つけなければならない。


滝沢は、銀座のいろんなバーを当たってみます。しかし、かつては、それらの仕事を引き受けてくれた女性たちからは相手にされません。

以前の、接待交際費を湯水のように使うときとは違っていました。


最終的に、滝沢は、自分の愛人であった加代子に会いに行きます。

「今夜中に唐人お吉をみつけなければならない。相手はアフリカの肌の黒い男でね」



この時の加代子は、どんな気持ちだったのでしょうか。僕は、女心にうとい男なので、想像もつきませんが・・・