短編小説読んでみた

福岡の便利屋

2013年04月

同名の短編集の中の一話です。


三好清吾は工場街で小さな連れ込み旅館を経営してます。

ある日、あるカップルが客として現れます。


「いや、いやだ、帰る」

「ちょっとだけだよ。休むだけ、な、いいじゃないか」

「痛いから、手を放して」


よくある話です。


二人は、部屋へ上がったものの、トラブルが再発します。


「いやあ、やめて!」

女は帳場へ逃げ込んできました。


しかし、女中たちは女を説得します。

「あなたも、ちゃんとお話し合いをして、その上でこういう所へ来たんでしょう」


結局、飢えて牙をむく野犬に等しい男の前へ、無理矢理女を押し戻しました。


この女との関係で、三好は 相場を始めることになっていきます。


男は、女をどうやって手に入れるか。金をどうやって手に入れるか。

それに尽きる。

そんな話だったなぁ。ヽ(;▽;)ノ 

「女たちは二度遊ぶ」の中の1篇です。

”とにかく、よく泣く女だった。”
冒頭はこう始まります。


???


泣かない女じゃなかったっけ?

テレビで残留孤児のドキュメントを観ては泣き
百万部売れた絵本を読んでは泣き
果ては、自分が買っておいたショートケーキを、ぼくが無断で食べたと言っては泣いた。
「だって、一緒に食べようと思って買ってきたんじゃない。・・・」と、悔しそうに目に涙を溜めていた。


そのころ、学生時代の友人と池袋の居酒屋で遅くまで飲んだ。

友人がとつぜん、「なぁ、もしもさ、おまえの彼女が妊娠したら、おまえどうする?」と訊いてきた。

「言い出しづらいから」

「から?」

「おまえに頼む」

「頼むって何を?」

「だから、俺の代わりに、やっぱり堕ろしたほうがいいんじゃないかって、」

素直な答えだったがのだが、友人の術中にはまったことに気がついた。

「卑怯だねぇ、おまえも」と友人は笑って、その妊娠した彼女の電話番号のメモをぼくは手に握らされていた。


翌日、ぼくは友人の彼女に電話をかけた。
伝えるべきことを、かなり遠まわしに伝えると、

「卑怯なことするんだね。男の人って」

彼女は心底呆れたようだった。


妊娠は昔から、男女のトラブルの原因になっています。

「産みたいんだけど?」と女性が言い。
「おろした方がいいんじゃない」と男性が答える。

人類は何万年と、こういうやりとりを繰り返してきたのでしょう。

この吉田修一という作家は、人間のだめな部分を特徴として書き表します。

この話では、男が直接、話をしづらいので、友人である主人公に話してもらいます。

僕の周りでは、そういう話は聞いたことないですが、世の中には多いのかもしれませんねぇ。 

「女たちは二度遊ぶ」の3作目です。

女がぼくに話しかけてきたのは、池袋北口の安いんだか、高いんだか、うまいんだか、まずいんだか分からないような店だった。

女は一人で飲んでいた。

ぼくと克弘が店に入ったときには、すでにそうとう出来上がっている様子で、知り合いらしいその店のウェイトレスに、
「真理、もう、ほんとにいい加減にしなさいよ。」などとたしなめられていた。

ぼくらが注文したビールで乾杯すると、「ねぇ、ねぇ!」と女が声をかけてくる。

「ここの白子のてんぷら、美味しいよ。白子のてんぷら!」と店中に響くような声で教えてくれる。


この作家は女性の描き方が非常にうまいと思うのですが、この、「真理」という女もすごくキャラが立っています。

わずか数行で、だらしのない女の印象を読者に印象付けます。


私は、こんな経験をしたことないですが、なんか、楽しそうだなぁ。

そうだ、今日は、飲みにでも行くかな(・∀・)イイ 

女たちは二度遊ぶの、第2話目です。

”あれからもう十数年も経つが、実際なんであんな女と付き合っていたのか、自分でも未だに腑に落ちない。”

どうやら、昔付き合っていた女性の話のようです。

彼女の名前は「あかね」といいます。


”ここで彼女の父と兄の言葉も紹介したい。

”あかねの実家は、いわゆる東京の下町で小さな自動車整備工場をやっていた。彼女を送って行くと、たいてい工場には父親と五つ上のお兄さんがおり、作業着を油で真っ黒にして働いていた。


「おい!おめぇ、どこほっつき歩いてんだよ」と父親の罵声が飛んでくる。

「こいつんちに、泊まってたんだよ!」と、怒鳴り返してしまう。”


かなりガラの悪い一族のようです。


しかし、

「おめぇも大変だな。よくあんな女と付き合えるよ」

娘を無断外泊させた男に対してはやさしく対応してくれます。


実際、あかねのオヤジさんとお兄さんはいい人だったようです。

また、あかねも言葉はきついですが、かなり女性らしく、数年前にいなくなってしまった母親の代わりに、炊事や洗濯といった家の事をしっかりとこなしていっています。


なんだか、こんな家族はホントにいそうだな、と感じてしまいます。

しかも、この、言葉はキツイが、けっこう家庭的な「あかね」が魅力的に見えてきました。

これがギャップ萌えでしょうかネ? 

短編集「女たちは二度遊ぶ」の最初の小説です。

本当になんにもしない女だった。炊事、洗濯、掃除はおろか、こちらが注意しないと三日も風呂に入らないほどだった。
女は名前をユカといった。尋ねる日によって、
「結ぶに花と書いてユカ」だとか、
「理由の由に、香るって書くのよ」などと言った。

で、どれが本当なんだよ?」と訊くと、
「カタカナでユカが本当」と答える日と、
「ひらがなでゆか」と答える日があって、
統計的に「カタカナのユカ」と答えたときは、彼女の機嫌が悪い日だった。

主人公は飲み会で始めて知りあったユカという女性を、自分の部屋へ泊めてしまいます。

彼女は、本当になにもしない女でした。

昼からバイトに行って、夜の2時に帰ってきたとき
「なんか食ったのか?」
「・・・何もだべてない」
「なんで?」
「なんでって・・・、あんたが帰ってくるの待ってたんだもん」

こんな調子です。


主人公はためしてみたくなります。自分が部屋へ帰らないでも、彼女は待っているかどうかをです。


僕は、読んでいてハラハラしました。

本気でユカのことを心配しているのです。

吉田修一は、映画化もされた「悪人」が有名ですが、どうやら女性を魅力的に見せるのがうまいようです。 

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